The 60th Congress of the Kinki Physical Therapy in OSAKA

第60回近畿理学療法学術大会

近畿理学療法学術大会賞▷ ページを更新する

第60回 近畿理学療法学術大会賞

最優秀賞(1名)

古河 琢也(京都民医連あすかい病院)

COPD患者における過換気IC測定法の妥当性についての検証
~呼吸抵抗に着目して~

受賞者のコメント

この度は、栄誉ある最優秀賞を頂き、大変うれしく、光栄に思います。コロナ禍で大変な中、本大会を開催していただきありがとうござい ます。大会運営に携われた先生方と審査していただきました先生方に深く御礼申し上げます。今回の演題は、COPD患者の動的肺過膨張の評価が簡便化なものになり、今後のCOPD患者の薬物療法の効果判定や呼吸リハビリテーションの活用に繋がると思います。今回の受賞を励みに今後とも理学療法の発展に貢献できるよう尽力していきたいと思っています。

選評

COPD患者における動的肺過膨張が身体に与える影響は理学療法を行う上で非常に重要な課題であり、運動時の動的肺過膨張を測定することは難しいとされている。今回、呼吸抵抗に着目して動的肺過膨張を評価した点は独創性があり、過換気IC測定法は、従来の方法よりも簡便で、迅速に行えることから、臨床的であり今回得られた結果は大変興味深い。今後有用となりうる大変有意義な内容であることから最優秀賞とした。
今後、過換気IC測定法の有効性をさらに追求していただき、この方法がCOPD患者に有効な指標となることに期待する。

優秀賞(4名)

川上 真由(京都下鴨病院)

ギプス固定除去後に手関節尺側部痛が出現した三角骨骨折症例の理学療法経験
〜エコーでの短小指屈筋の動態に着目して〜

受賞者のコメント

この度は、このような素晴らしい賞を頂き、大変光栄に思います。発表の場を用意してくださった関係者の皆様、及び審査員の方々には心より感謝致します。今回の発表のテーマとなった尺側部痛を呈する症例は臨床上よくみかけます。今回の発表では、理学所見から病態を推察し、エコーにて軟部組織の動態を観察し、筋-神経間の滑走評価を行うことで症状の消失につながりました。この度の受賞を励みに、更なる学術活動の発展、精度の高い理学療法に繋がるよう努力していく所存です。

選評

超音波画像診断装置を用い動態評価を行う事で客観的な評価指標として感覚障害や疼痛の原因追求が行われている点が有意義な発表と考える。今回は単一症例の報告であるが、現象に対して仮説を立て、検証を行い、超音波画像診断装置を用いた客観的評価から原因を特定し介入するまでの一連の理学療法プロセスが丁寧に示されているためわかりやすくまとめられている。理学療法研究として意義深く、貢献性においても臨床現場における超音波画像診断装置の有用性がさらに明確に示されている。

福西 優(西大和リハビリテーション病院)

社会参加に対する介護予防教室の効果の性差 
-男女に適した介入を目指して-

受賞者のコメント

この度は、優秀賞に選んでいただき、誠にありがとうございます。今後もコロナ禍の中で、自治体と連携を図りながら、地域高齢者の健康増進に取り組んで参ります。また、理学療法士の視点から、介護予防事業の発展に少しでも寄与できるよう、臨床および研究活動を続けていきたいと思います。

選評

介護予防事業において、男性の参加率の低さは良く聞かれる問題である。今回、男女差について検討し、男性は屋外家事、女性は屋内家事や戸外活動に改善があったという結果は、今後の生活指導に有益な報告である。社会参加と身体機能との関係性が男女で異なり、それに応じて社会参加を目的とする場合のアプローチ方法も変える必要性を示した意義のある研究である。

松本 忠義(大阪市立大学医学部附属病院)

当院救命救急センター入室高齢患者におけるフレイルの有無とその影響

受賞者のコメント

この度、発表の機会をいただきました大会長をはじめ、運営スタッフの方々に深く御礼申し上げます。2025年問題が迫る中、高齢者の救急搬送件数は年々増加してきており、集中治療領域でホットトピックスであるPICSやフレイルに着目していくことが非常に重要であると感じております。今後、救急領域における理学療法の重要性はさらに増してくるものと考えられますので、今回の受賞を機にさらに精進して参りたいと思います。

選評

昨今フレイルに関する報告は増加傾向であるが、予定入院患者や地域高齢者を対象とした報告を主となっている。そのため、今回の発表のような救急搬送される患者の入院前フレイルが症例の治療経過や転帰に与える影響を調査することは急性期病院で従事する理学療法士のみならず地域で関わっている理学療法士にも大変有意義な報告である。

塚川 亮祐(株式会社フルーション)

訪問リハビリテーション利用自粛期間中の定期的な電話指導により、生活機能低下を予防できた症例

受賞者のコメント

今回の受賞は偏に関係各位のご支援とご協力あってのものです。心より感謝申し上げます。COVID-19での自粛が長期化する中、日々の業務で我々が行ってきたことを形にした結果、このような栄えある賞をいただき感激しています。自粛期間中の電話連絡によるサポートが認知されたことは喜ばしいですが課題も残っています。引き続きチームとしても個人としても『学び』を止めず地域の皆様を支えていけるよう精進して参ります。

選評

COVID-19感染拡大を背景とする現状対し、身体的評価スケール等を用いて問題提起をされており、非常に参考になる取り組みである。一方で実際に電話連絡が意義のあったものなのか、自粛前の介入の必要性はどの程度あったのかは重要な観点だと考える。このような事例を増やし、介入効果の報告はもちろんどのようなシステムで取り組むかといった報告にもつながる将来性のある報告である。

奨励賞(3名)

中村 志帆(関西リハビリテーション病院)

急性自律性感覚性ニューロパチーにより立位困難を呈した症例に対する長下肢装具からの段階的な装具療法経験

受賞者のコメント

この度、第60回近畿理学療法学術大会において、奨励賞という栄誉ある賞を授与して頂き、大変光栄に存じます。 今回の発表を通し、運動失調に対する装具療法や稀な疾患に対するリハビリテーションの進め方などを学ぶことができました。 今後も患者様により良いリハビリテーションを提供していけるよう、日々精進して参りたいと思います。

選評

希少疾患の理学療法経験で介入方法や効果判定の指標が難しい中、経時的に評価が行われており、貴重な症例報告である。自己免疫疾患患者を担当する理学療法士の介入の一助になると考えられる。その一方で、真に長下肢装具の効果であったかは検討が不十分であるため、今後調査を進めてもらいたい。

笠井 健一(松下記念病院)

運動負荷後の端座位での頸静脈所見出現に関連する因子の検討 
~HFrEF群とHFpEF群での検討~

受賞者のコメント

この度は奨励賞を頂戴し大変光栄に思います。 本学会の中で循環器疾患に関する演題は少なく、理学療法関連学会の中での心臓リハビリの認知度はまだまだ低いと改めて感じました。 今後も高齢化は進み、心不全を有する症例はますます増加していくことが予想されます。本発表のような簡便な指標である身体所見、頸静脈所見の有用性、心不全のリスクの層別化の方法について、今後幅広く周知させていきたいと思います。

選評

今回の運動負荷後の端坐位での頚静脈所見は、同様の徴候であっても原因の違いにより所見は異なることを明らかにしており、心不全増悪のリスクを評価するうえで臨床的に簡便な方法であるため、臨床的で有益な報告である。今回の報告は、運動負荷後の所見であるため、今後は運動機能との関連性などの検討に期待したい。

髙山 絵莉香(りんくう総合医療センター)

TKA術後患者に対する大腿四頭筋の遠心性収縮を意識した起立-着座動作がTrailing limb angleに及ぼす影響

受賞者のコメント

この度は、奨励賞を受賞することができ、大変光栄に存じます。ご推薦頂きました皆様、ならびに発表に際しご協力を頂きました先生方に心より感謝申し上げます。 本研究では、TKA術後歩行における推進期のTLAに着目し、高座位での立ち上がり動作が歩行再建の一助になる可能性が示唆されました。今後は症例数を増やして効果を検討し、TKA術後の理学療法の可能性を探りたいと考えております。

選評

遠心性収縮を意識した起立―着座動作をtrailing limb angleと関連づける研究は、簡便に行える方法であり、結果において速度や角度が増大できたという点は興味深い研究と思われる。TKA患者において歩行時のStiff knee gaitや立脚後期の伸展減少が歩行速度の低下、ひいては歩行の安全性の低下をもたらすことは臨床上頻繁に遭遇する。本介入のように介入前後で客観的な指標を用いて即自的効果検証を行う事は非常に有用である。

総評

この度は、「近畿理学療法学術大会賞」の受賞おめでとうございます。COVID-19の猛威が終息せず、第2波、第3波の影響により日々の研究活動におかれましても、大変な苦労があったことと存じます。普段の臨床業務では、感染対策として今まで以上に配慮しないといけないことが増え、さらには、学術大会や研修会・講習会の中止や延期などで、学術活動も大きく制限されました。しかし、そのような制限下において研究活動を継続されたことに敬意を表します。

「近畿理学療法学術大会賞」は、近畿の学術の発展に少しでも寄与できればという思いで企画しました。今回の学術大会に登録された93演題の中から、査読結果をもとに、さらに「近畿理学療法学術大会賞 表彰特別委員会」にて厳選な審査が行われ、8演題が選出されました。

演題登録された研究デザインは症例報告が多く、今回の受賞の対象となった8演題は、4演題が症例報告、4演題が研究報告でした。

今回の学術大会は、「いのち輝く未来社会の理学療法デザイン〜近畿からのイノベーション〜」をテーマに開催され、各講演講師から2030年に向けた理学療法デザインの提言を行っていただきました。印象的だったのは、「質の高い報告をしていくことが必要である」と共通したキーワードが含まれていたことです。

理学療法士の存在意義が認められるのは臨床です。臨床で最良な理学療法を展開するために、今後も研究活動を継続していただき、RCTなどエビデンスレベルが高い研究報告を期待します。

第60回近畿理学療法学術大会
学術局 局長 射場一寛

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開催会場

グランキューブ大阪
(大阪府立国際会議場)
〒530-0005
大阪府大阪市北区中之島5丁目3-51

事務局

第60回近畿理学療法学術大会 事務局
〒540-0028
大阪市中央区常盤町1-4-12
常盤セントラルビル301号
一般社団法人
大阪府理学療法士会
生涯学習センター内
TEL:06-6942-7233
FAX:06-6942-7211
E-mail:kinki60@pt-osk.or.jp
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