The 60th Congress of the Kinki Physical Therapy in OSAKA

第60回近畿理学療法学術大会

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学際的研究から脳卒中理学療法を展望する

森岡 周
畿央大学 ニューロリハビリテーション研究センター センター長
 ニューロリハという言葉は今では広く認知され、科学技術の発展と共に進歩している。しかし、進化の観点からは懸念がある。それは療法士自身の思考過程である。旧体系の様々なアプローチはその時々に発見された科学的知見によって開発され、理論化・概念化されてきた。一見科学的と思われるが、それは概念化されたが故に抽象的となり、多様な解釈可能性を生み出した。そして、時代と共に発見される知見を追加・解釈し、巧みに変容してきたことから、結果として、科学の本質である反証可能性を喪失させてしまった。それ故、開発された療法は責任をとる必要がないメカニズムに陥っている。現代の療法士には、速やかに3た論法(使った、治った、効いた)からの脱却を求めたい。今、最先端と呼ばれる方法も3た論法で解釈し続けてしまえば、いずれ同じ道を辿ることになる。アウトカム、それを説明しうる変数の設定、そしてそれらの因果関係を検証し続ける思考過程およびそれに基づく意思決定、この手続きなくして「反省のもと」での進化はないと考える。
 さて、脳が損傷すると今まで当たり前にできていたことができなくなる。何をいまさらと思われるだろうが、自分自身にこの事実がつきつけられると、とてつもなく重い気持ちに苛まれてしまう。動き出したい時に動ける。触れたい時に触れ感じられる。歩く速度を変えようと思えば容易に変えられる。このような何気ない行為一つ一つによって「私」は「私自身」を信用できる。そして、私の意図/予測通りに動いてくれるこの身体を愛おしく思い、それを所有し制御しているという主体の意識を生み出すことができる。脳卒中理学療法は実時間の感覚-運動連関を生み出すファストダイナミクスと、脳内身体表現が徐々に変化するスローダイナミクスを創発させることが重要である。前者はその時々の刺激によって得られることから、生物学的メカニズムを適応できる。ゆえに、普遍性・エビデンスを重視しながら手段を意思決定すべきである。一方、後者は対象者とそれを取り巻く環境の時間軸における自伝的な意識が混入する。ゆえに、個別性・ナラティブを取り入れ関わらなければならない。前者は治療者としての理学療法士、後者は支援者/教育者としての理学療法士となり、脳卒中理学療法ではこの二つの役割を存分に活かし、それらを創発させることが望まれる。本講演では、神経科学、社会学、心理学等を融合した身体性/社会性をとらえる学際的研究から、主体の意識を生み出すために必要な脳卒中理学療法とは何かを考えたい。
略歴
1992年 高知医療学院理学療法学科 卒業
近森リハビリテーション病院 入職
1997年 Centre Hospitalier Sainte-Anne, Paris , France 留学
2001年 高知大学大学院教育学研究科修士課程 修了 修士(教育学)
2004年 高知医科大学大学院 医学系研究科博士課程 修了 博士(医学)
2005年 畿央大学健康科学部理学療法学科 助教授
2007年 畿央大学大学院健康科学研究科 主任・教授(現職)
2013年 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター長(現職)
2014年 首都大学東京(現・東京都立大学)人間健康科学研究科
客員教授(現職)
主な著書
単著 高次脳機能の神経科学とリハビリテーション(協同医書出版社)2020
編著 脳とこころから考えるペインリハビリテーション(杏林書院)2020
編著 身体性システム科学とリハビリテーション・身体認知
(東京大学出版会)2018
編著 標準理学療法学 神経理学療法学・第2版(医学書院)2018
単著 リハビリテーションのための脳・神経科学入門・第2版
(協同医書出版社)2016
学術論文はリサーチマップ https://researchmap.jp/sssrm4
主な受賞歴
第52回日本理学療法学術大会最優秀賞 2018
第17回理学療法ジャーナル賞 2006
第38回日本理学療法学術大会奨励賞 2004
関連領域社会活動(現在)
(公社)日本理学療法士協会 日本神経理学療法学会 副代表運営幹事
(一社)日本ペインリハビリテーション学会 監事
日本ニューロリハビリテーション学会 代議員
(一社)日本運動器疼痛学会 代議員

運動器疾患に対する理学療法の現状と未来

大工谷 新一
兵庫医療大学 リハビリテーション学部 研究員
 運動器疾患は多岐に渡るため、理学療法士の関わりも医学的治療モデルから生活支援モデルまで様々である。介入方法や求められる技能についても、術後理学療法に代表されるようにプログラム(工程表)に則って遅れなく遂行することを追求していく一方で、徒手理学療法に代表されるように匠的な領域を目指すものという相反的な捉えられ方をする側面がある。
 これを換言すると、運動器疾患における理学療法においては、日常生活動作等の獲得を目的とした動作練習に代表される人間の生活を基軸にしたマクロ的介入から、関節、筋、腱、靭帯、骨等の運動器の病的状態を改善させるという解剖学、生理学運動学の観点での正常状態を基軸とするミクロ的介入の双方を求められる。
 術後等にプログラムどおりに動作を獲得させることは、これまで理学療法士が他職種と比して優位性を主張してきた動作観察によって異常動作や不調を評価する、いわゆるトップダウンモデルでは対応が困難である。また、熟練理学療法士にしかできない技術提供は、エビデンス等の面で種々の議論があるものの、外科医の熟練度を考えた場合、ある効果的な技術を磨いて卓越した技能を持つことは否定されるべきものではない。
 現状の課題としては、医学的治療モデルと生活支援モデルについてエビデンスを含めて整理し、治療者でありリハビリテーション専門職である理学療法士のあり方を確立させなければならない。また、近年の科学技術の進歩や感染症対策に鑑みると、AIやIoTと関連した間接的理学療法のあり方および用手接触を主たる方法とする直接的理学療法のあり方についても大きな課題と考えられる。
 以上のことから、10年後の目標として運動器理学療法の有用性、再現性、普遍性の確立とそこに立脚した一般化と科学技術への提供、および他職種やAIにはできない、理学療法士にしかできない独自性の追求と確立を挙げたい。
 今回の講演では、本学会の趣旨に鑑みて、上記のとおり運動器疾患に対する理学療法の過去から現在の状況、その対象や基本的考え方、現状の課題と10年後に想定される目標を示したうえで、そのための行為計画のもとになる概念図を提案したい。
略歴
1991年 京都大学医療技術短期大学部理学療法学科 卒業
京都地域医療学際研究所附属病院
1994年 関西医療学園専門学校
1996年 保健衛生学士(理学療法学専攻)授与(学位授与機構)
2002年 大阪体育大学大学院スポーツ科学研究科スポーツ社会科学専修
博士前期課程 修了 修士(スポーツ科学)
2005年 岸和田盈進会病院
2009年 大阪体育大学大学院スポーツ科学研究科スポーツ健康・医科学領域
博士後期課程 修了 博士(スポーツ科学)
2015年 株式会社リビングケア研究所
2017年 エムスリードクターサポート株式会社
2019年 日本理学療法士協会 専務理事
兵庫医療大学リハビリテーション学部 研究員
主な学術研究業績
・Maximal isokinetic muscle strength of knee extension and range of straight leg raising after dynamic stretching of knee flexor. (共著) International Journal of Applied Exercise Physiology (in press), 2020.
・Opponens pollicis silent period during a precision motor task with the isometric contraction of the ipsilateral knee extension. (共著) International Journal of Applied Exercise Physiology 7(2): 9-14, DOI: 10.22631/ijaep.v7i2.271, 2018.
・Opponens pollicis long latency reflex during the ipsilateral sustained knee torque maintenance. (共著) J Athl Enhanc 6: 5. doi: 10.4172/2324-9080. 1000271, 2017.
・H reflex from soleus muscle after ankle sprain of a college basketball player. (共著) J Trauma Treat Vol.2 Issue3 p.175, 2013.
・Silent period and H reflex from soleus muscle as an index in a neuromuscular function after reconstruction of anterior cruciate ligament. (共著) Electromyogr clin Neurophysiol 49(4): 177-186, 2009.
関連領域社会活動(学会理事)など
公益財団法人 運動器の健康・日本協会 理事(学校保健委員会担当)
公益社団法人 日本理学療法士協会 専務理事
一般財団法人 訪問リハビリテーション振興財団 常務理事・事務局長

慢性疼痛の治療革新 ~治療発展のための課題と持続可能な目標~

松原 貴子
神戸学院大学 総合リハビリテーション学部 理学療法学科 教授
 組織損傷に伴い体験する痛み(急性痛)は生体の警告信号として非常に重要な意味をもつ一方、慢性疼痛は疾病として国際疾病分類第11版(ICD-11)に初めて収載され(WHO, 2019)、治療対象となる。慢性疼痛とは、「治療に要すると期待される時間の枠を超えて持続する痛み、あるいは進行性の非がん性疼痛に基づく痛み」と定義されており(国際疼痛学会, 1994)、薬物療法の進歩により現在では3か月以上持続する疼痛とされる。「Decade of pain control and research (2001-2010)」を経て、慢性疼痛の治療は世界で革新的な発展を遂げた。一方、本邦では腰痛や関節痛のような運動器の慢性疼痛がこの20年間で国民の有訴症状の上位を占めつづけており(厚生労働省国民生活基礎調査)、慢性疼痛治療が奏効していないことがうかがえる。その理由としては医療者・国民(患者)双方に対する教育・情報提供の不足・欠如が考えられ、疼痛医療のスペシャリストの育成・教育は大きな課題である。
 疼痛は多面性を有し、特に慢性疼痛では心理社会的な要因が痛みの病態を複雑にしている。多面性に加え、個々人によって異なる意味や捉え方がなされ複雑な背景をもつ慢性疼痛患者をvisual analogue scaleだけで尺度化することの意義は乏しく、全人的かつ包括的な評価が必要である。さらに、現在では慢性疼痛の治療アルゴリズムとして運動療法がfirst-lineに位置付けられるようになっている。慢性疼痛に対する運動療法効果は運動誘発性鎮痛(exercise-induced hypoalgesia: EIH)機序に基づく。さらに運動により “Runner’s high”で知られる気分の改善・好転、さらにQOLや社会的問題の改善まで幅広い効能効果が報告されている。ただし、EIHを誘起する至適運動処方「FITT」について一定の基準はない。よって、有用性および有効性の高い評価・治療法の標準化は喫緊の課題であり、医療人材の育成・教育のためにも必須である。
 本講演では、慢性疼痛に対する運動療法の革新的なポテンシャルについて紹介したうえで、上記のスペシャリスト教育や評価・治療法の標準化といった慢性疼痛医療の課題を整理しその解決に向けた目標について検討する機会としたい。
略歴
1991年 神戸大学 医療技術短期大学部理学療法学科 卒業
医療法人愛仁会 千船病院 理学療法士
1997年 神戸大学 医学部保健学科 助手
2005年 University of Sydney Pain Management and Research Centre 研修
2006年 神戸大学大学院 医学系研究科博士後期課程 修了、博士(保健学)
名古屋学院大学 人間健康学部リハビリテーション学科 講師
2007年 日本福祉大学 健康科学部 開設準備委員
愛知医科大学 学際的痛みセンター 非常勤理学療法士
2008年 日本福祉大学 健康科学部 准教授
2011年 日本福祉大学 健康科学部 教授
2017年 愛知医科大学 学際的痛みセンター 客員教授
2018年 神戸学院大学 総合リハビリテーション学部理学療法学科 教授
神戸学院大学大学院 総合リハビリテーション学研究科 教授
書籍
◦定量的評価(田口敏彦他編,疼痛医学.医学書院,2020)
◦慢性痛の評価(牛田享宏他編,慢性疼痛ケースカンファレンス.メジカルビュー,2020)
◦痛み(木村貞治他編,障害別運動療法学の基礎と臨床実践. 金原出版,2020)
◦ペインリハビリテーション入門(沖田実・松原貴子編著,三輪書店,2019)
◦慢性疼痛治療ガイドライン(厚生労働行政推進調査事業費補助金慢性の痛み政策研究班監,真興交易,2018)
◦ペインリハビリテーション(松原貴子他編著,三輪書店,2011)  他
関連領域社会活動
日本ペインリハビリテーション学会(理事長)、日本運動器疼痛学会(常務理事)、日本疼痛学会(理事)、日本慢性疼痛学会(理事)、日本ペインクリニック学会、国際疼痛学会、日本基礎理学療法学会、日本運動器理学療法学会、日本物理療法学会、日本解剖学会、日本生理学会    他
日本痛み関連学会連合(監事)、一般財団法人日本いたみ財団(評議員)、厚生労働行政推進調査「慢性の痛み」政策研究事業班、厚生労働科学研究費補助金「慢性の痛み」政策研究事業班    他

摂食・嚥下理学療法の考え方 ~現状の課題と理学療法士が果たすべき使命~

内田 学
東京医療学院大学 保健医療学部リハビリテーション学科 理学療法学専攻 准教授
 超高齢社会を迎えている我が国において、肺炎の発生率は高率であり死因別死亡率からも生命予後を脅かす因子になることは明確に示されている。高齢者における肺炎では誤嚥性肺炎の占める割合が高く、加齢の影響と嚥下障害は密接に関連している。日本摂食嚥下リハビリテーション学会などがサルコペニア嚥下障害というポジションペーパーを報告していることからも、嚥下障害を咽頭や喉頭などの局所性嚥下機能障害と捉えるのではなく全身の機能の一部として評価・介入がなされなければならない。
 全身の運動機能障害が嚥下障害を引き起こす疾患として、脳血管障害や神経難病が代表的である。脳卒中片麻痺患者は、嚥下障害を誘発する原疾患の過半数を占めており、口腔摂取を断念しPEGを増設する原疾患としても最多となっている。発症後、1か月以上の嚥下障害を認める患者は10%未満と報告されるなど、嚥下機能の予後は良好である印象であるが、多くの脳卒中患者が嚥下障害を引き起こしていることが現実である。神経難病の中でもパーキンソン病は誤嚥性肺炎や窒息が死因の上位を占めている。平均寿命に差はなく天寿を全うすると報告される中で、嚥下機能の問題で最期を迎えている状況である。これらの疾患では若年発症は稀であり、多くは加齢の進行と共に好発する。フレイル、サルコペニアなどの骨格筋機能障害に神経学的な異常が合併しているという視点が要求される。低栄養に伴う骨格筋機能障害と疾患特有の姿勢調節障害により嚥下障害が発生するという考え方が理解されることで、理学療法士が担うべき役割は非常に大きくなることが期待される。
 摂食嚥下障害を有する高齢者に対する地域支援体制の取り組み収集、分析に関する調査研究では、嚥下障害に対する理学療法の関与は入院患者で15.2%、病院外来で5%、診療所で0.3%という低い実施状況であることが報告された。嚥下障害は言語聴覚士や歯科衛生士に依存しており、理学療法士が積極的に関与しているとは言い難い状況である。多職種連携の重要性はいかなる領域においても理解されているが、摂食嚥下障害においては理学療法士の責任は果たせていない印象がある。
 本講演では、嚥下障害を引き起こす疾患として代表的である脳卒中片麻痺とパーキンソン病の嚥下障害発生メカニズムにについて整理し、理学療法士に課せられる役割と課題、今後の使命を提案する。
略歴
平成8年 大分リハビリテーション専門学校 卒業
医療法人愛心会大隅鹿屋病院
平成18年 国際医療福祉大学大学院保健医療学専攻運動動作学領域
博士前期課程 修了
平成19年 健康科学大学健康科学部理学療法学科 講師
平成21年 国際医療福祉大学大学院保健医療学専攻運動動作学領域
博士後期課程 修了
平成24年 東京医療学院大学保健医療学部リハビリテーション学科
理学療法学専攻 准教授
資格
専門理学療法士(内部障害理学療法2019S-04-000118)
3学会合同呼吸療法認定士(102210)
呼吸ケア指導士(214022)
著書
1.姿勢から介入する摂食嚥下 パーキンソン病患者に対するトータルアプローチ(内田学編集, メジカルビュー社, 2020)
2.姿勢を意識した神経疾患患者の食べられるポジショニング(内田学編集, メジカルビュー社, 2019)
3.姿勢から介入する摂食嚥下 脳卒中患者のリハビリテーション(内田学編集, メジカルビュー社, 2017)
4.理学療法実践レクチャー 栄養・嚥下理学療法(吉田 剛 監修, 山田 実 編集, 医歯薬出版, 2018)
5.脳卒中理学療法の理論と技術(原 寛美 編集, 吉尾 雅春 編集, メジカルビュー社, 2019)
関連領域社会活動
日本理学療法士学会編集委員会 査読委員(現在に至る)
栄養・嚥下理学療法部門 運営幹事(現在に至る)
東京都理学療法士協会多摩市支部 支部長(現在に至る)
総合理学療法研究会 理事(現在に至る)
日本理学療法士協会拡大検証システム検討委員会(2019年まで)
日本理学療法士協会検証資料小委員会(2019年まで)
日本理学療法士協会社会局調査部(2017年まで)
日本理学療法士協会社会局業務推進部(2017年まで)
日本理学療法士協会社会局介護保険部 副部長(2015年まで)

これからの10年 糖尿病理学療法の発展における課題と希望

野村 卓生
関西福祉科学大学 保健医療学部リハビリテーション学科 理学療法学専攻 教授
 ベッドから椅子への移乗動作も困難となった不安定型の1型糖尿病患者のリハビリテーションを担当したことが、糖尿病の理学療法に興味を持つきっかけとなった[糖尿病ケア11, 2014]。病院勤務時代は血糖コントロール目的に入院した2型糖尿病患者の下肢筋力やバランス能力を評価して、糖尿病が身体機能・能力に与える影響を検討してきた[糖尿病49, 2006]。教育研究者になってからは、質の高いエビデンスを創出するため、全国の理学療法士の多大な協力を得て、理学療法士主導での多施設共同研究を推進し、いくつかの新しい知見を発表してきた[SAGE Open Med, 2019; J Diabetes Investig, 2018; 9(1); J Diabetes Investig, 2018; 9(2); J Diabetes Investig, 2020].これまでの成果は観察研究によるが、現在、介入研究を実施しており、糖尿病患者に対する理学療法介入に関する知見も見出したいと考えている[J Phys Fitness Sports Med, 2020]。
 関連領域社会活動として、平成18年(2006年)から旧・日本理学療法士協会 内部障害理学療法研究部会 代謝班の活動に携わり、「糖尿病 理学療法診療ガイドライン(第1版)」の作成、「認定必須研修会(代謝)」のカリキュラム設計や班主催の「糖尿病理学療法研修会」の企画・運営などに関わってきた。平成23年からは同会の運営幹事となり、日本糖尿病理学療法学会の設立に尽力し、令和元年まで代表運営幹事を務めた。代表運営幹事の任期満了を迎えた現在、同学会の副代表運営幹事として、諸種の学会活動に関わっている。学会活動における主な成果としては、①職能に資する研究事業の推進[日本下肢救済・足病学会誌,2018;糖尿病2019]、②下肢切断の予防を目的とした研修事業を日本理学療法士協会と協働して全国的に展開、③糖尿病対策[PTジャーナル,2016]を地域レベルで進めるため、全国の士会の協力を得て組織化を推進、④糖尿病に対する理学療法の定義を作成し、2019年に開催した学術大会において“JSPTDM沖縄表明”として発表した[日本糖尿病理学療法学会ホームページ]。
 講演では、まず、演者の糖尿病理学療法に関する研究成果を紹介した上で、糖尿病理学療法の発展における課題を述べる。ついで、日本糖尿病理学療法学会の運営幹事の立場から、これまでの学会活動を総括し、糖尿病理学療法の発展を目指したこれからの10年のビジョンを述べる。
略歴
2000年 高知リハビリテーション学院 卒業
高知医科大学附属病院 入職
2006年 大阪府立大学 総合リハビリテーション学部 入職
2009年 大阪保健医療大学 保健医療学部 入職
2011年 関西福祉科学大学 保健医療学部 入職
現在に至る
主な著書
1.単著「糖尿病治療における理学療法 戦略と実践」文光堂 2015年5月
2.共編「糖尿病の理学療法」メジカルビュー社 2015年6月
3.編著「身体機能.歩行動作からみたフットケア」文光堂 2016年5月
主な研究
MUSCLE-std study(臨床試験登録:UMIN000002810)
概要:2型糖尿病患者1442名を解析対象として、①健常者データと比較して下肢筋力の低下の程度、②糖尿病性神経障害による下肢筋力への影響、③運動習慣と下肢筋力の関連性を明らかにした研究である。
①Nomura T, et al. SAGE Open Med. 2019 Jan 8; 7: 2050312118823412.
②Nomura T, et al. J Diabetes Investig. 2018 Jan; 9(1): 186-192.
③Nomura T, et al. J Diabetes Investig. 2018 Mar; 9(2): 426-429.
MUSCLE-std 2 study(臨床試験登録:UMIN000029617)
概要:60歳以上の2型糖尿病患者を対象にしたコホート研究である。糖尿病性神経障害の合併別に平均4年後の変化を比較し、糖尿病性神経障害が下肢筋力低下に与える影響を明らかにした研究である。
④Nomura T, et al. J Diabetes Investig. First published: 10 July 2020
関連領域社会活動
平成18年(2006年)より、旧・日本理学療法士協会内部障害理学療法研究部会代謝班の活動に協力し、「糖尿病 理学療法診療ガイドライン(第1版)」の作成や「糖尿病理学療法研修会」の企画・開催などに携わった。平成23年からは同研究部会の運営幹事となり、日本糖尿病理学療法学会の設立に尽力した。日本糖尿病理学療法学会では、第1期~第3期(任期満了)まで代表運営幹事を務め、現在も同学会の副代表運営幹事として学会の各種活動に関わっている。また、平成25年から現在に至るまで、日本理学療法士学会の編集委員会委員を務めている。
さらに、日本糖尿病学会の推薦にて日本糖尿病療養指導士認定機構の理事ほか、日本肥満学会では評議員や肥満症生活習慣改善指導士のカリキュラム委員会委員ほか、日本腎臓リハビリテーション学会では代議員や国内交流委員会委員などを歴任している。

がんの疾病構造と医療情勢の変化、多死社会への移行に対応したがん理学療法

高倉 保幸
埼玉医科大学 保健医療学部 理学療法学科 教授
 がんに対する治療医学は発展し、延命率は向上したことが知られているが、それでも高齢者に多いがんに罹患する患者は今後も増え続け、「死亡原因の1位」「3人に1人はがんで亡くなる」状態は今後も維持されることが確実であると考えられている。しかし、近年の動向から今後10年の変化を考えてみると、がんの疾病構造や医療情勢、多死社会への移行が課題となり、その対応を今から考えていくことの重要性が示唆される。
 がんの疾病構造では、胃、大腸、肝臓といった消化器がんと肺がんは今後も罹患者が多いことが予想されるが、2015年には男性のがん罹患者で4位だった前立腺がんが2017年には1位になり、今後も増え続けることが予想される。前立腺がんや肺がんは骨転移が多く、またがん全体としても延命率が延びると骨転移の患者が増えることが予想されている。消化器がんや骨転移の対策が重要であることがわかる。
 医療情勢では、高齢化による医療ニーズの増大に加えて、働き手が減少することで財源と病床数が減少することから、在宅医療のニーズが増大することが予想される。がん性疼痛、骨転移による病的骨折、食思不振と悪液質、リンパ浮腫、うつなどのがん患者に生じやすい特異的な問題に対しても外来や在宅で適切な理学療法を行えるように理学療法士は評価能力の向上と対応の仕方を身に付けていくことが重要となるだろう。
 高齢化社会の後には多死社会が訪れるであろうといわれる。そのため、終末期に関わる理学療法士が増えることが予想される。がんという病気で亡くなる人は、終末期にはいらだちや不安などのネガティブな感情をぶつけてくる人も多く、辛い思いをすることがある。担当していたがん患者が亡くなることで無力感を感じる理学療法士も増えるだろう。理学療法士はそのような場合の対処方法を身につけるとともに、自分たちを守るためのサポート体制を構築していくことも重要な課題であると考えられる。
略歴
1984年 国立療養所東京病院附属リハビリテーション学院 卒業
癌研究会附属病院 整形外科 入職
1998年 埼玉医科大学総合医療センター リハビリテーション科 入職
2007年 埼玉医科大学 保健医療学部 理学療法学科 学科長・教授
関連領域社会活動
日本がんリハビリテーション研究会 副理事長
日本理学療法士協会がん理学療法部門 代表運営幹事
厚労省後援「がんのリハビリテーション研修会」運営委員会 副委員長
厚労省後援「新リンパ浮腫研修会」運営委員 副委員長
日本理学療法士協会「がんリハビリテーション研修会」 代表ディレクター
埼玉県がんリハビリテーション研修実行委員会 副委員長
日本理学療法士協会・日本作業療法士協会共催
         「リンパ浮腫複合的治療実技研修会」 ディレクターなど
主な著書・論文
◦高倉保幸:腫瘍学 理学療法士・作業療法士のための急性期リハビリテーションハンドブック.文光堂,2005
◦高倉保幸:がん患者のQOL 理学療法MOOK13 QOLと理学療法.三輪書店,2006
◦高倉保幸:悪性新生物による障害と理学療法 内部障害系理学療法学.医歯薬出版,2006
◦高倉保幸、國澤洋介:がん患者に対する理学療法の関わりの視点と留意点.理学療法27(10),2010
◦高倉保幸、國澤洋介:がんのリハビリテーション.ビジュアルレクチャー内部障害理学療法学.医歯薬出版,2014
◦高倉保幸、國澤洋介:骨転移患者の理学的評価と対応.骨転移の診療とリハビリテーション.医歯薬出版,2014
◦高倉保幸、宮越浩一:骨軟部腫瘍・骨転移.がんのリハビリテーションベストプラクティス.金原出版 2015
◦高倉保幸:5章理学療法士.実践がんサバイバーシップ-患者の人生を共に考えるがん医療をめざして.医学書院.2014
◦高倉保幸(監修):がんリハビリテーション-原則と実践 完全ガイド-.ガイアブックス,2018
◦高倉保幸、國澤洋介:標準理学療法学・作業療法学・言語聴覚障害学 別巻 がんのリハビリテーション.医学書院,2018 など

高齢者に対する根拠に基づいた運動療法 ~理学療法士に求められる視点と課題~

池添 冬芽
京都大学大学院医学研究科 人間健康科学系専攻 准教授
 健康寿命の延伸のためには包括的な視点から高齢者の諸問題を捉え、機能向上だけでなく、予防の視点も含めた多角的なアプローチを展開することが求められる。本講演では「量と質を考慮した運動療法」および「フレイル・施設入所高齢者に対する運動療法」の2テーマを取り上げ、エビデンスに基づいた最良の運動療法を提供するために当面の10年後に向けて取り組むべき課題について話題提供したい。

1.量と質を考慮した運動療法
 筋機能の維持向上にはレジスタンストレーニングが最も有効な手段であり、低強度であっても運動量を増やすことによって高強度と同程度の筋力増強・筋肥大効果が得られるとされている。一方、運動量に比例して効果が高まるわけではなく、負荷量だけでなく、バリエーション(多様性)もトレーニング効果に影響を及ぼす重要な要因と考えられている。しかし、健康寿命延伸のためにはどの程度の運動量が必要なのか、どのようなバリエーションが効果的なのかについては不明な点が多い。また、加齢に伴い筋量が低下するだけでなく、筋内非収縮組織の増加といった骨格筋の質的要素も変化する。加齢に伴う筋の質的変化は量的変化よりも比較的早期から始まり、筋によっては30歳代から質的変化が認められている。この筋の質の低下も高齢者の筋機能低下を招くため、筋の「量」とともに「質」の改善に対する運動療法の確立も重要な課題のひとつである。

2.フレイル・施設入所高齢者に対する運動療法
 活動性の低いフレイル高齢者や施設入所高齢者においては廃用による筋萎縮が著しく進行する。施設入所高齢者を対象とした我々の追跡研究でも1年間で大腿四頭筋の筋厚は17.3~28.3%減少することが確認されている(Ikezoe T, et al. 2015)。一方、運動介入や積極的な身体活動の促進によって、フレイルの予防や改善が可能である。実際、身体活動レベルが高強度であった中年男性は26年後のフレイル発症リスクが低かったと報告されており(Savela SL et al. 2013)、フレイル予防には高い身体活動レベルを中年期から習慣化することが重要である。また、理学療法ガイドライン第2版における地域理学療法ガイドライン班によるメタアナリシスの結果、施設入所高齢者に対する運動療法はADL向上に有意な効果を認めている。しかし、対象者の介護度や疾患ごとの効果や運動療法の種類ごとの効果については知見が十分ではない。そのため、多施設での大規模調査によりデータベースを構築し、これらについての科学的根拠を蓄積し、根拠に基づいた質の高い運動療法を確立することが重要な課題と考える。
略歴
平成4年 京都大学医療技術短期大学部理学療法学科 卒業
理学診療科病院 入職
平成6年 京都大学医療技術短期大学部 助手
平成15年 京都大学医学部保健学科 助手
平成23年 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 講師
平成28年 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 准教授
現在に至る
資格
専門理学療法士(生活環境支援系、基礎)
認定理学療法士(介護予防)
関連領域社会活動
日本地域理学療法学会 運営幹事
日本理学療法士協会「理学療法学」「PTR」 編集委員
日本理学療法士協会 ガイドライン・用語策定委員会統括委員・地域理学療法
ガイドライン作成班 班長
業績
学術論文(2011年~原著、筆頭のみ抜粋)
◦Ikezoe T: Age-related change in muscle characteristics and resistance training for older adults. Physical Therapy Research 2020; 23(2), In Press
◦Ikezoe T, et al: Effects of low-load, higher-repetition versus high-load, lower-repetition resistance training not performed to failure on muscle strength, mass, and echo intensity in healthy young men: a time-course study. J Strength Cond Res 2020; 34(12): 3439-3445
◦Ikezoe T, et al: Association between walking ability and trunk and lower-limb muscle atrophy in institutionalized elderly women: a longitudinal pilot study. J Physiol Anthropol 2015; 34: 31
◦Ikezoe T, et al: Daytime physical activity patterns and physical fitness in institutionalized elderly women: An exploratory study. Arch Gerontol Geriatr 2013; 57: 221-225
◦Ikezoe T, et al: Associations of muscle stiffness and thickness with muscle strength and muscle power in elderly women. Geriatr Gerontol Int 2012 ; 12(1): 86-92
◦Ikezoe T, et al: Effects of age and inactivity due to prolonged bed rest on atrophy of trunk muscles. Eur J Appl Physiol 2012 ; 112(1): 43-48.
◦Ikezoe T, et al: Age-related muscle atrophy in the lower extremities and daily physical activity in elderly women. Arch Gerontol Geriatr 2011; 53: e153-e157
◦Ikezoe T, et al: Atrophy of the lower limbs in elderly women: is it related to walking ability? Eur J Appl Physiol 2011; 111(6): 989-995

10年後の理学療法教育のあり方 ~臨床現場に立たせる責任、社会の変化に対応していく義務~

日髙 正巳
兵庫医療大学 リハビリテーション学部 理学療法学科 教授
 2020年4月、20年ぶりの指定規則の改正を受け、理学療法士養成教育は新時代に向けて歩みを始めた。また、新型コロナウイルス禍により、(公社)日本理学療法士協会が進める新生涯学習システムのスタートも1年先延ばしされ、2022年4月からの開始となった。さらに、社会全体をみていくと、GIGAスクール構想やSDGs、Society5.0、STEAM教育と教育を取り巻く環境の変化が著しい。
 そのような社会情勢の中で、10年後の理学療法教育はどうなっているだろうか。理学療法士養成教育においては、2020年6月に開催された(公社)日本理学療法士協会の第49回定時総会にて「4年制大学化推進5カ年計画」が提案された。また、指定規則が今後概ね5年後に見直されるとされていることからも、10年後の養成教育は新たな指定規則に従って展開されているであろう。また、更新要件が盛り込まれた「生涯学習システム」においても、更新を経て軌道に乗り始めていることかと思う。
 10年後の理学療法士教育を考えた時、多方面での変化がみられているとは思うが、変わってはいけない根幹もある。
 本講演の副題に「臨床現場に立たせる責任、社会の変化に対応していく義務」をつけさせていただいた。養成施設の教員が臨床実習を履修させるため、学生を臨床現場に送り出すわけであるが、「臨床現場に立たせる責任」を持って取り組むことが必要であろう。また、卒業すれば臨床現場に立つことになることからも臨床実習指導者も「臨床現場に立たせる責任」の一端を担うことになる。この責任は、単に厳しく学生に当たり、「合格させない」「卒業させない」ということではなく、「責任をもった教育と指導」を行い、学生を育てる責任である。また、理学療法士を取り巻く社会環境は変化を続け、医療技術も進化を続けており、このような「社会の変化」に対応していくために学び続けることは、専門職としての義務でもあるという意識を理学療法士一人一人が高く持つことが重要である。
 そこで、本講演では、質の高い理学療法を提供していくために、10年後の理学療法教育がどのようにあるべきかについて、一人一人が考えていくための話題提供をしたいと思う。
学歴
1990年 神戸大学医療技術短期大学部理学療法学科 卒業
2000年 佛教大学大学院教育学研究科生涯教育専攻 修士課程 修了
2004年 神戸大学大学院医学系研究科保健学専攻 博士後期課程 修了
職歴
1990年 公立宍粟郡民病院 理学診療科 入職
1995年 武部整形外科リハビリテーション リハビリテーション部 入職
1996年 医療法人仁寿会石川病院リハビリテーション部 入職
1997年 神戸大学医学部保健学科 助手
2002年 学校法人高梁学園 吉備国際大学保健科学部 助教授
2006年 学校法人高梁学園 吉備国際大学保健科学部 教授
2007年 学校法人兵庫医科大学 兵庫医療大学 教授(現職)
2011年 兵庫医療大学大学院医療科学研究科 教授(兼担)
2019年 藤田医科大学大学院 保健学研究科 客員教授(兼担)
関連領域社会活動
(公社)日本理学療法士協会、日本理学療法教育学会 副代表運営幹事
日本理学療法士学会コアカリキュラム委員会 委員長
(一社)全国大学理学療法学教育学会 理事
(一社)日本リハビリテーション臨床教育研究会 副理事長
(一社)日本リハビリテーション教育評価機構 評価員
(一社)日本褥瘡学会 理事
日本医学教育学会、日本高等教育学会
主な学術研究業績
・日髙正巳・他:臨床推論力・協働力を育む統合的シミュレーション教育プログラムの試行(第51回日本医学教育学会大会(口述)、2019)
・吉塚久則、玉利誠、横尾正博、榊英一、日髙正巳:臨床実習における理学療法技術の主観的困難感、臨床教育者と学生の認識に着目して(理学療法福岡、2018)
執筆
・セラピスト教育のためのクリニカル・クラークシップのすすめ(第3版)(分担執筆、三輪書店、2019)
・卒前・卒後教育に役立つ理学療法士育成OJTテキスト(分担執筆、文光堂、2017)

スポーツ領域に理学療法士が関わる意義 ~10年後のスポーツ理学療法士像~

梶村 政司
有限会社アフェクシー 代表取締役
 理学療法士が得意とする知識と技術は、日常の基本動作から生活上での応用動作へつなげる際の「動きが観れる専門家」であると考えている。特に「スポーツ」に限って言えば、「動作分析」から「評価」が行え、競技力向上や改善に結び付けられる職種である。
 今回のテーマであるスポーツ領域では、「競技スポーツ」と「生涯スポーツ」に分けることができる。これまでは、個人やチームとしての能力と技術の限界に挑む「競技スポーツ」が脚光を浴びて来た。ところが、最近では個人のライフスタイルに合わせて楽しむことができる「生涯スポーツ」もこの領域では認知度が上がっている。
 それぞれのスポーツにおいて理学療法士が関わる意義は、競技スポーツでは心身の健全な発達などを求める時、すぐに痛みをとることではなく、なぜ痛みがあるのかその原因を知り解決することである。特にジュニア世代に関わる指導者は将来を見据えた育成をしているので即効性のある治療よりもケガをしっかり治すことが求められている。一方で、生涯スポーツでは生活習慣病の予防など高齢者における運動において、「行動の予後予測」をした上で運動メニューを提供し理解を得ながら指導にあたることが求められている。
 さて、「障がい者スポーツ」と言えば、これまでリハビリテーションや福祉という側面で捉えられてきたが、最近では自らを表現する重要なツールとなってきている。そこで、理学療法士が障がい者スポーツに関わる意義には、「するスポーツ」、「観るスポーツ」、「支えるスポーツ」として、障害の有無に関わらず、多くの方が障がい者スポーツに関われる機会をつくれるアドボケーター(advocate)になることだと考えている。
 最後に2030に向けた課題としては、高齢化社会とともに医療制度は変遷をとげ、昔と比べ入院期間は短縮されてきた。これはマイナス要因として考えられ、リハビリテーション職種の視点からみると、「日常生活への復帰」がゴールとなり、歩行自立や在宅生活レベル獲得を目指した理学療法が大半になっている。本来、我々が設定するゴールは、身体機能を維持・向上させQOLを高め社会とつながるために欠かせないことである。したがって、10年後には、誰でもがスポーツを楽しむまでのツールとして課題を解決しておくことが、理学療法士の役割であり「意義」と考える。
略歴
1982年3月 高知医療学院理学療法学専攻 卒業
1982年4月 中国電力㈱中電病院リハビリテーション科 入職
2004年3月 東亜大学大学院 修士課程 修了
2004年4月 広島大学 臨床教授
2020年12月 有限会社アフェクシー
関連領域社会活動
1985~2008年 広島県理学療法士会 理事
(2003~2008年) 広島県理学療法士会 会長
2007年~現在 公社)日本理学療法士協会 理事
 2011年 災害担当役員として広島土砂災害や熊本地震等の現場で復興活動
 2013年 広報啓発業務執行委員長として、「理学療法の日」記念日の登録
 2015年 常務理事として、2020オリンピック・パラリンピックを担当
2019年~現在 公社)広島県理学療法士会 理事
主な学術研究業績
口述発表
・「理学療法Ⅱの施設基準100m2の意味するところ」(第40回日本理学療法学術大会,大阪 2005)
・「寛骨臼回転骨切り術(RAO)における術後1年の機能回復の特徴」(第32回日本股関節学会,新潟,2006)
・「「気づき」(可視化)発表によるスタッフの意識調査」(リハビリテーション・ケア合同研究大会札幌2012)

講演
・「日本基礎理学療法学会に期待すること」(第1回日本基礎理学療法学会,宮崎,2011)
・「地域包括支援システム概論」(鳥取県理学療法士会,鳥取,2014)
・「失敗しない社会人生活の送り方(数字力で目標を設定する)」(第8回理学療法リーダー研修会,広島,2015)
・「平時の災害理学療法」(第53回日本理学療法学術研修大会,茨城,2018)
・「東京2020オリンピック・パラリンピック大会の理学療法士の関わり」(第43回青森県理学療法士会学会,2019)
執筆
・大規模災害~リハビリテーション対応マニュアル~(分担執筆,医歯薬出版,2012)
・災害リハビリテーション標準テキスト(分担執筆,医歯薬出版,2018)
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開催会場

グランキューブ大阪
(大阪府立国際会議場)
〒530-0005
大阪府大阪市北区中之島5丁目3-51

事務局

第60回近畿理学療法学術大会 事務局
〒540-0028
大阪市中央区常盤町1-4-12
常盤セントラルビル301号
一般社団法人
大阪府理学療法士会
生涯学習センター内
TEL:06-6942-7233
FAX:06-6942-7211
E-mail:kinki60@pt-osk.or.jp
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